PRGRのクラブにまつわる過去や、新製品開発に奮闘するスタッフの現在、そして新しいクラブを世の中に生み出す未来を紹介していくノンフィクション、PRGRクラブ開発物語、通称ギアスト!多くのアマチュアゴルファーの悩みを解消すべく、創業以来、研究開発を続けてきたプロギア。
今まで画期的な長尺カーボンドライバーや、やさしさと飛距離を追及したカーボンヘッドのロングアイアン。複合構造のドライバー、従来より2番手飛ぶ非常識なアイアンなど、アマチュアゴルファーを救うために独特なクラブを開発してきましたが、ゴルファーの悩みはまだまだ解消されません。それがゴルフの楽しさなのかもしれませんが、PRGR開発スタッフは常にその課題に挑戦し続けます。
ゴルファーを襲う窮地
非常識なアイアン、egg(エッグ・2007年)の開発ストーリーでも紹介しましたが、ちょうど同時期にシニアゴルファーをターゲットにしたクラブ開発をおこなうプロジェクトが立ち上がっていました。
シニアゴルファーの一番の悩みは飛距離ダウンなので、いかに飛距離アップを実現するか、様々な研究開発をおこなっていましたが、シニアゴルファーのもうひとつの悩みは夏ラフでした。
生い茂るラフにボールが入るとアイアンで打ってもなかなか勢い良く前に飛ばない。そもそも夏場のラウンドはただでさえ体力を消耗するのに、ラフに入るとさらに体力が奪われてしまいます。そのようなシニアゴルファーの悩みを聞き、開発チームは”夏ラフ脱出”ギアの開発に取り掛かります。
かつてPRGRにはZOOM C(2000年)というラフからでも200ヤード先のグリーンを狙うユーティリティはあったものの、シニアゴルファーのヘッドスピードでラフの中からボールを前に飛ばすのは至難の業でした。そこで開発スタッフはラフからの脱出の糸口を上(空)に見いだします。
球を上げるためにロフトを28度にし、フェースプログレッション(FP)を大きくしてフェースを前に出す。ラフに負けないようにヘッド質量を重くし、振り切れるようにクラブ長さを短くした試作品を製作。
ゴルフ場でラウンドテストをおこなうと、驚くほどスムーズにラフからボールを脱出できます。
開発スタッフ 『これはおもしろい!球が上がるとゴルフがこんなに簡単になるなんて。』
シニアゴルファーのための夏ラフ脱出ギア。明確なターゲットとはっきりしたコンセプトと商品性能を持ったクラブが完成しました!が、
商品化を目指すも敢え無くボツとなります。
理由はシンプルにニッチすぎて販売本数が見込めないということ。そりゃそうです、使う人と場面があまりにも限定的過ぎました。球を飛ばすのでは無く、球を上げる。という開発コンセプトはおもしろいものでしたが、いったんこのクラブの開発には蓋をすることとなります。
ゴルファーのティーショットを徹底調査
それから約10年。プロギア開発チームはギリギリの初速性能で飛距離の限界に挑戦しながら、相変わらずアマチュアゴルファーの悩みを調査し続けています。
ある日、千葉県の某ゴルフ場のスタートホールのティーグラウンドでゴルファーのティーショットを調査していると、38%のゴルファーはボールを左に飛ばし、29%のゴルファーはボールを右に飛ばし、4%のゴルファーはフェアウェイまでボールが届かないチョロでした。実に約70%のゴルファーがフェアウェイを外し、そのうち約半分のゴルファーは2打目用のクラブを持ってカートにも乗らずボールに向かって走り出していました。
その先には深いラフや斜面が待ち受けており、遠目にも2打目を苦戦している様子が伝わって来ました。
開発スタッフ 『これは大変だ。ゴルファーのピンチを救わないと!』
ゴルフ練習場やテストセンターでゴルファーの悩みを聞くと、飛距離不足やスライス、フックなどの球筋に関するもの、そしてオーバースイングや手打ちなどのスイングの悩みを多くのゴルファーが口にしていましたが、実際にゴルフ場でゴルファーが直面している悩みとは、斜面、ラフ、バンカー、ディボット跡、ベアグラウンド、林の中、ハザード越えなどなど、飛んでいったボールが止まった場所。すなわち窮地(ピンチ)からいかに脱出するかでした。
ちなみに国内男子プロツアーのシード選手のフェアウェイキープ率の平均は約62%、アマチュアゴルファーのフェアウェイキープ率はスコア管理アプリなどのデータでは約48%ですが、身近なゴルファーのフェアウェイキープ率を調べてみると、
アマチュアゴルファーA(平均スコア94・ヘッドスピード43m/s)※1
フェアウェイキープ率34.5%
アマチュアゴルファーB(平均スコア81・ヘッドスピード46m/s)※2
フェアウェイキープ率60.7%
アマチュアゴルファーC(平均スコア89・ヘッドスピード44m/s)※3
フェアウェイキープ率21.4%
というデータが判明。なかなかフェアウェイをキープできていないことがわかります。
※1・2・3 ゴルフ上達を目指すゴルファーを紹介する、ほぼリアルドキュメントブログ『サイエンスフィット日記』メンバーのラウンド記録より
さらにゴルフ場での調査を続けると、アマチュアゴルファーのクラブセッティングで興味深い点を発見します。
※自社調べ
ルール上、クラブの使用本数の上限は14本ですが、およそ46%のゴルファーの使用本数は13本以内でした。
開発スタッフ 『ゴルファーの窮地を本気で救うギアを開発しよう。そのギアを入れるスペースがキャディバッグにあるはずだ。』
窮地からの脱出
ゴルファーの窮地を救うために必要なのは飛距離よりもやさしさ。その脱出口は上(空)にあるはず。そこで約10年温め続けた夏ラフ脱出クラブの開発を再開します。
窮地からの脱出を目的とするため、ロフトは一般的な6番アイアンのロフトと同じ28度。様々なライ、斜面に対応できるようソールはV字型のオールラウンドソールとし、フェイスは深いラフでも打ち込めるディープ形状、クラウンも様々なライに視覚的に対応できる多面体デザインとしました。
FPを大きくして打ち出し角度を上げ、クラブ長さはユーティリティより短くしてミート率を高める。
様々な窮地からの脱出するための機能を織り込むと、どんどん通常のクラブのスペックと離れていきますが、ゴルフ場でテストすると確実にやさしさは増していきます。
企画スタッフ 『すっごく打ちやすい。このクラブならフェアウェイウッドも打てるんじゃないか?』
フェアウェイウッドが苦手で苦手で全然打てなかった商品企画スタッフは、28度より飛距離の出るクラブ開発を(自分のために)提案します。
ロフトを立ててもボールを上がり易くする為、ボディをマレージングからチタンにして大型化するとともにソールを比重の重いステンレスにして低重心化を図ります。いくつかのロフトを試した結果、飛距離が出て安定度の高い18度ヘッドと、やさしさに特化し幅広い場面で使用できる23度ヘッドを選択します。
さらに一番やさしく窮地から脱出できるクラブとして33度ヘッドをラインナップに加え、合計4つのクラブが完成しました。このまったく新しいクラブシリーズは世の中の多くのゴルファーをターゲットとしたモデルとして、遂に10年越しの商品化が決定します。さあ、この新しいクラブの名前は、、、悩みに悩んでも答えが出て来ませんでしたが、
デザイナー 『窮地を救うから、Qでいいんじゃないですか?』
デザイナーの何気ないひとことで商品名が即決。ゴルファーの窮地を救う救世主、Q(キュー)の誕生です。
世の中の多くのゴルファーが必要とするクラブ。ただその必要性に世の中の多くのゴルファーは気付いていません。そこで毎年3月に開催されるジャパンゴルフフェアに出展し、Qをお披露目することにします。
※会場内でPR活動に汗を流すCMキャラクターの球太郎くん
ここで悩めるゴルファーの救世主となるQをお披露目し、2018年3月、Qは発売となります。企画が止まってから約10年、ようやく日の目を見ることができました。
前例の無いクラブシリーズなのでどれくらい反響があるかもわかりませんでしたが、蓋を開ければ発売1週間で3ヶ月分の販売見込み本数を越える売上げがあり予想以上の大反響。特にネットでの売れ行きが凄まじく、これはCM動画で大活躍してくれたキャラクターの球太郎くんのお陰かもしれません。
※販売好調でまんざらでも無い、球太郎君
こんどは窮地を超える!
2018年の発売以来、現在に至るまでロングセラーモデルとなったQ。
初心者ゴルファーと常に行動をともにして助けたり、
100切りゴルファーの切り札となったり、
7000ヤードを越えるコースで夏場に行われる本格的な競技での武器となったりと、レベルを問わず多くのゴルファーに愛されています。
そうしてQユーザーが増えると、ゴルファーからさらなる要望がどんどん湧き出てきます。
Q18よりもっと飛ばせるスペックが欲しい!フェアウェイやティーショットからやさしく打ちたい!もっと球を上げたい!キャリーでグリーンを狙いたい!池やバンカーに入れたくない!
貪欲なゴルファーの要望に応えるため、PRGR開発スタッフは日夜研究、開発を続けています。
■横浜ゴム平塚製造所
久しぶりに訪れました、横浜ゴムの工場内にあるPRGR平塚事業所。ここで熱心にデータ計測をする男。
PRGRサイエンスフィット日記メンバーでありPRGR開発チームの一員、F君です。
そのF君のデスクの周りにはたくさんの見慣れないヘッドの数々が、ぎっしりと箱に入っています。
開発F君 『これはQの新しいシリーズのテストモデルです。従来のQは”悪いライから脱出する”ことを開発テーマにヘッド設計しましたが、新しいシリーズは”フェアウェイから一番やさしいクラブ”が開発テーマです。』
そんな数々の研究開発、試作からこの春生まれたのが、フェアウェイから”窮地を超える”ギア、Carrys Q(キャリーズ・キュー)です。従来のQのモデルチェンジでなく、追加シリーズとして登場。従来のQがラフ、斜面、クロスバンカーなどの難しい場所(窮地)からの脱出を図るためのギアなのに対して、Carrys Qはフェアウェイから窮地を飛び越えていくためのギアなので、使用エリアが異なります。
フェアウェイからの球の上がりやすさを第一に設計したヘッド形状は、フェイスの高さがディープな従来のQに比べてシャローなフェイス形状。
大型化されたヘッドは、アドレスでの安心感と構えやすさを演出します。
ソールのフェイス側にはスリットを設け、フェイス下部での当たりでも初速を落とさず、打ち出し角度を上げる効果があります。そしてソールの一部はチタンの4倍の比重を持つタングステンから成っており、徹底的に低重心化されています。
番手は今までもQよりもさらに飛距離を伸ばせるロフト16.5度の3+、やさしく打てるロフト19度の3、通常のユーティリテリより大型でやさしさと球の上がりやすさに特化した20度の4、24度の5の4本がラインアップしております。
ゴルフを簡単にするためにはどうしたら良いか。アマチュアゴルファーのお悩みを長年研究し続けた結果、まずはボールを空高く上げることが大事である。という結論から生まれたCarrys Q。従来のQ同様、クラブセットの空きスペースに入れていただきたいクラブです。その驚くべきやさしさをぜひゴルフショップ、PRGR試打会、クラブレンタルサービスなどでお試しくださいませ。
■PRGRクラブレンタルサービス(有料)について詳しくはこちら
PRGR開発チームの研究に終わりはありません。次はどのようなゴルファーのお悩みを解消するのか。どうぞお楽しみに。
つづく
Q、発売時に試打クラブ、23度と28度レンタルして、
打感が気に入って23度のライトスペックを直ぐに購入しました。
フェアウェイ外したら、取り敢えずQ23持って行く様にして、何度も助けられています。
28度も考えましたが、打感がチタンとは違うので、やめました。
先日、お店で新作のキャリーQも試打しましたが、現在使用中のFW(前作のRED)が打てているので、今回は保留にしました。
今後もユニークなクラブを造ってくださいm(._.)m
ヤジキンさん
コメントありがとうございます。そしてQ23(とRED)までご購入いただいちゃってて感激です。これからもおもしろいクラブを世の中に出して行きますので、ぜひぜひその都度チェックしてください(^_^)
3upクラブで紹介されて見に来ました。昨晩Q18.23.28を購入しました。リシャフトはする予定ですけど。
道具屋さん
3UP CLUBからありがとうございます!いつも大変お世話になっております(^_^)。早速Qをご購入いただきありがとうございます!なお、Qはラフに負けず、ミート率も高めるためにヘッド質量が一般的なFWやUTより10~20グラムくらい重くなっておりますので、リシャフトの際にはお気をつけくださいませ!
【ヘッド質量(参考)】Q18:234g/Q23:244g/Q28:253g
D0バランスとカタログに書いているので、先中でトルク3くらいで行く予定です。NS105S若しくはKBS125ツアーS位を考えています。カーボンならアッタス5 7Sくらいですかね?
ホームコースの月例とかで、ティショットを曲げたときに、FWバンカーやラフから軽く170~190飛べばいいなみたいなことを考えています。結構頻繁にそういう場面があって、UTで打てなくて、ボギー・ダボなんて言うことが多いので。。ショートも200前後が多いので、18度が嵌れば丁度いいかなあとおもっています。
DUO370、340、リバースチタン銀、DATA601、RSなども使ってましたし、レインコンポ、ウインターコンポも未だに重宝しています。このブログ読んでると、初心者~HC12の頃を思い出します。新城工場のセールにお邪魔する事も年3回あります。さすがにeggまではいけませんが。。笑 新城で購入したシャフトも数本の残ってますし。。自宅の車庫でリシャフトするので、バランスだけ気を付けます。
道具屋さん
コメントありがとうございます!実は競技志向ゴルファーの皆さまにも意外とQは使用いただいております。7000ヤードのラフがしっかり伸びた競技セッティングのゴルフ場だと、まず打ち出しをあげてくれるクラブが必要なようですね。そしてクラブだけでなく、ウェアまでご愛顧ありがとうございます。ご自分でリシャフトもされるんですね!凄い、大変失礼いたしました。これからもどうぞよろしくお願いいたします(^_^)
①7年前のクラチャン(4Rのストローク合計=平均308くらいが必要)4週目、17番まで2打差でトップだったのに185ヤードFWバンカーからUT4でヘリに当たりOB、結果ダブルスコアの8を打ち2打差で2位。
②3年前のマッチプレー選手権9H時3UPなのに簡単なinコースで、ヘビーラフで逆転負けで2位。その2回のラウンド時にQ23とQ28欲しかったなーと今でもフラッシュバックして思い出されます。
55歳なんで、5年後のシニア選手権までにそういうエポックメイキングなクラブになるようにと思い、色んな奇特なクラブを試しています。R35にはアプローチイップスを直しても貰いましたし。。わくわくしてます。
道具屋さん
コメントありがとうございます!①も②も手に汗握るドキドキのシチュエーションですね!どんな上級者だって競技というのは普段では想定しないミスやシチュエーションに苦しむものなんですね(海外メジャーでもあれだけミス?が出るんだし)。そんな場面でお役立ちできるような商品開発を続けていきたいと思います(^_^)
月例で使ってきました。
BiMatrix で組み
40インチ仕上げ
18度は220ヤード
39インチ仕上げ
23度は190ヤードくらいですね。
前半は6番迄パープレーでしたが、
40-43という事で、初めてのクラブを3本いれ、ドライバーOB1ならまあまあの出来です。
3upのFBでも盛り上がり、何名か購入したみたいです。キャリーの3+も購入検討してます。
道具屋さん
コメントありがとうございます!いきなり月例で凄いですね!BiMatrixって先端がスチールのシャフトですよね。Qにこのシャフトが入ると最強のラフ対策クラブになりそう!!クラチャン獲得の秘密兵器になることをお祈りいたします(^_^)