PRGRの成り立ちや過去モデルの紹介、新製品開発に奮闘するスタッフの今、そして新しいクラブを世の中に生み出していくPRGRの未来をお届けするノンフィクション、PRGRクラブ開発物語・ギアスト!
前回はPRGRロゴの秘密をご紹介しましたが、今回はPRGRとデザインの関係についてお届けいたします。
PRGR’s WAY
1983年の年明け。ADVAN(アドバン)タイヤの開発スタッフを中心とする数名のメンバーによって、横浜ゴム内にFB(Future Business)開発室という部署が立ち上がりました。のちの横浜ゴムスポーツ事業部、現在のプロギアです。
横浜ゴムはタイヤをメインとするゴム関連メーカーでありながら、化学品分野、航空機関連分野の事業部がありましたので、FB開発室はこれらの背景を生かしてゴルフ市場への参入を決めます。ただしゴルフについては素人集団なのでどこから手をつけて良いのかわかりません。そこでまず、PRGRとしての目指すべき道を定めます。
創業メンバー 『とにかく、自分たちが是非使ってみたいという商品を作ろう。9割の人に否定されても、1割の人に強烈に支持される物を作ろう。我々は後発なんだから恐れることはない。それが”PRGR’s WAY”だよ。』
そもそもゴルフというのは紳士のスポーツと言われるくらいなので、英国発祥の伝統と格式を持ったスポーツです。それはゴルフクラブも然り。長い歴史の中で築き上げられた常識とルールがあるなか、PRGRは新しい道を歩むことにしたのです。さらに、
創業スタッフ 『ゴルフクラブと言うと決まりきったものになってしまう。自分たちはゴルフクラブとは言わない。ゴルフの道具、”ゴルフギア”と呼ぼう。”ゴルフギア”なら様々なチャレンジをしてもいいはずだ!』
プロギアという名前にもあるように、ゴルフクラブを“ギア”と定義し、自由な発想でモノづくりに取り組んだ当時のスタッフ。”ゴルフギア”という呼び名は、当時はあまり一般的では無かったようです。
このPRGRの目指す方向に重要な役割を果たしたのがデザインでした。オーセンティックでトラディショナリズム(伝統主義)なゴルフ業界にモダニズム(近代主義)デザインで挑戦する。ほぼ熟成されているゴルフクラブに敢えて挑戦するために定めたのが、以下のPRGRデザイン・コンセプトでした。
①NEW WAVE
伝統的なクラブの系譜とは異なる、新しい時代のゴルフライフにふさわしい”ギア”とは何かを追求する。
②SIMPLE
マシン(machine)としてのギアに求められる条件は、高精度感、高密度感であり、オペレーターであるゴルファーの集中力をいかに高めさせるかである。
③LONG LIFE
技術革新の激しい今日にあってはクラブの進化も例外ではない。新技術、新素材を新理論のもとに、どのように複合化、統合化し、永い需要に耐えられるかを探る。
このデザイン・コンセプトに従って、プロギアの商品イメージはシックで高級感を備えることと方向付け、1983年12月、ゴルフ市場にデビューしたのでした。
グレーとレッドの挑戦
当時一般的だった木目調で艶のあるパーシモンヘッドに対して、PRGRが最初に発表したクラブはダークグレーでマット処理されたカーボンヘッドドライバー。自社製造出来て、設計自由度の高いカーボンをヘッド素材に採用し、カラーデザインは男ゴコロをくすぐるような、兵器や戦闘機をイメージした鈍い光を放つ艶を抑えたグレーとしたのです。
従来のゴルフクラブを象徴する伝統と常識のブラウンカラーヘッドとスチールシャフトに対して、現代デザインの象徴ともいうべきグレーカラーと差し色のレッドで挑戦する。ゴルフというスポーツは長い歴史を持ち、用具にも長い間かかって生まれた伝統は確かに素晴らしいものです。PRGRは後発として伝統を否定するのではなく、新しい可能性を示してみたかったのです。
当時日本のゴルファーのコア層は50歳代で、特にゴルフに関しては保守的な方が多く、PRGRが発表したギアは伝統を重んじるゴルファーにはなかなか受け容れられるものではありませんでした。ただし1980年代前半、新しい時代の変化に最も敏感で、活気があった30歳代中盤のニューゴルファーと呼ばれる世代(俗に言う団塊世代)の心にPRGRは突き刺さり、じわじわと支持層(ファン)を獲得していったのです。
時代をデザインする
革新的設計とともに先進のモダンデザインでゴルフの伝統に挑戦し、ニューゴルファーに向けてリリースされたPRGR。新しいギアを作る。という気概でこれまで数々の画期的な商品を生み出してきましたので、ここでその一部を紹介させていただきます。
PRGRのギア第1号、M-1ドライバー(1983年)。従来のゴルフクラブと一線を隠したコンセプトとデザインで、ゴルフクラブとして初めてグッドデザイン賞を受賞(1984年)。
ニューラインコンセプトを提唱し、ギアとして新しいアイアンの誕生をゴルファーに訴求した500アイアンシリーズ(1984年)。機能はもとより、アイアンはクロムメッキ処理されたピカピカしたのものという常識を覆す、バレル処理された外観が特徴的。
近未来ゴルフへの挑戦、インテストLX(1988年)。レンガ色カラーでゴルファーに鮮烈な印象を与えるとともに、ゴルフの世界に新しいカテゴリーを生み出した。
テストにテストを重ねた結果生まれたPRGRの回答、BENTドライバー(1992年)。その機能をデザインで後押し、ゴルファーに衝撃を与えた。
女性のヘッドスピードとスイングを徹底研究したm30シリーズ(2002年)。ドライバーからアイアン、パターをひとつのラインで繋げ、女性のゴルフをトータルデザインした。※2003グッドデザイン賞受賞
チッパーとは言わない。ランニングウェッジという新しいカテゴリーを切り開いたR35ウェッジ(2005年)。ゴルファーの心の壁を取り去り、多くのゴルファーのスコアアップを手助けしてきたロングセラーモデル。(2010年、溝規制によるマイナーチェンジ実施)
飛び系アイアンというワードが無い時代に生まれた非常識なギアegg PC-01(2007年)。アイアンから始まった非常識な世界はゴルファーの支持を得て拡大していった。※2008グッドデザイン賞受賞。
クラウン部を無くした驚きのデザインでゴルファーに飛距離とやさしさを提供したegg SPOON/FAIRWAY WOOD(2013年)。※2013グッドデザイン賞受賞
窮地に苦しむゴルファーを救うために生まれたQ(2018年)。あらゆるライからの脱出を手助けするギアはあらゆるゴルファーを対象にし、モダニズムデザインの本質である”誰に対しても同じように使える”ということを具現化。
PRGRのデザインは単なる見た目だけでなく、新しいゴルフを提案する役目を担っています。一歩先の未来のためのデザインは万人に受け容れられるものでは無かったかも知れませんが、同時に熱烈なファンを作ってきました。創業スタッフが掲げたPRGR’s WAYとPRGRデザイン・コンセプトは現在まで連綿と受け継がれてきたのです。
プロギアのクラブ開発において重要な役割を担うクラブデザイン。今後生まれてくる新しいギアもゴルファーの心に突き刺さるものとなるはずです。どうぞご期待くださいませ。
つづく
いつも楽しく読ませて頂いています
私はQ18と23を使用しています、このクラブが私のHDを下げてくれました
有難う御座いました。
これからも大事に使用して行きたいと思います。
ピンさん
コメントありがとうございます!QはまさにPRGRらしい新しいカテゴリーに挑戦したギアでした。大事にお使いいただきありがとうございます(^_^)
私的には、リバースも載せてほしかったです。
新ちゃんさん
コメントありがとうございます!リバースはカーボンに固執していたPRGRの新たなる挑戦でしたので、また別の機会に紹介したいと思います(^_^)
いわゆるタラコ、これは衝撃的でしたね。
エッグの上面くりぬきヘッドもつい最近まで使ってましたが、球が上がり易くて、優しいFW。
その前はZoomFも良いスプーンでした。
現在はQの23度とRS5がお助けクラブとして重宝してますよ。
ヤジキンさん
コメントありがとうございます!PRGRの様々な挑戦的なギアをご使用いただきありがとうございます。これからもゴルファーを救う商品を開発していきますのでご期待ください(^_^)
方針が明確で素晴らしいと思います。
カズさんさん
コメントありがとうございます!方針が明確すぎてたまに失敗しちゃったりもしましたが、とにかくPRGR’s WAYを進むのです(^_^)
1Wからアイアンまで全てPRGRのRSです。 女性でここまでPRGRなのは珍しいといつも言われています😅
レディースは可愛い色のギアが多いのでシックな色合いも気にいってます。
自分のギア達の物語、これからも楽しみにしております。
viviさん
コメントありがとうございます!PRGRクラブセットをご使用いただきまして誠にありがとうございます。ちょっと一般的なレディースクラブの色合いとは異なりますが、かっこよくて素敵だと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします(^_^)