有識者に聞いた。あなたの、あなただけのドライバーえらび
芯に当てやすいドライバーが理想。
ゴルフライター 高梨祥明
長年ゴルフメーカーのクラブ開発の現場を取材してきたクラバーこと高梨氏にインタビュー。自身がドライバーに求めること。ゴルフクラブの役割について語る。
Q. あなたが選ぶドライバーの飛ばし方は?
(高梨)個人的には芯を外しても許容性が高くて安心!というクラブよりも、なるべく芯に近いところに当てやすいドライバーを理想としています。そういった点では、PRGRのドライバーではクラブ長さを短めにして、振りやすく、良いところに当たりやすくするという設計がなされているegg44ドライバーが共感できますね。
ゴルフメーカーの開発現場を取材してその研究結果を目の当たりにすると、飛ばしのための初速性能は十分信頼できるものです。どのモデルもボールを遠くに飛ばすための機能は十分備わっていますので、その性能をなるべく発揮しやすいモデル、つまり芯で打ちやすいクラブが欲しいのです。打球結果も最大飛距離(縦の誤差)ではなくて、方向性(横の誤差)を重視しています。
この20年でドライバーだけが大型・長尺化し、他のクラブとは異なる独自の進化を遂げてきましたが、自分としては独自進化してしまったドライバーをいかに振りやすくするか、芯に当てやすくするかを求めて、シャフトを短くしたり硬くしたり、ヘッドを小さくしたり軽くしたりと色々な実験をしてきました。その中で気づいたことは、クラブが自分の必要以上の補正をしない。自分のスイングの邪魔をしないことが、求める理想のドライバーなのではないかということです。
Q. あなたがドライバー選びで重要視するものは?
(高梨)ドライバーとしてのニーズというと前述の観点になりますが、ゴルフクラブセット全体の中でのドライバーとなると、話は少し違ってくるかもしれませんね。egg44ドライバーで単体としての満足感は十分得られると思いますが、実際はもう少し他のクラブ(番手)との「つながり」が欲しくなってしまうかもしれません(笑)
そう言う意味で興味深かったのは、PRGRのLSと05アイアンのセットとしての提案です。ドライバーからウェッジまで“コースで結果を出すために”考えられたLSシリーズのコンセプトは、非常に共感できるものです。その中のドライバーもターゲットゴルファーの飛距離マップに照らし、高さをしっかり出すことを目的に開発されているので、ヘッドスピード40m/sというLSのターゲットゴルファーなら確実な結果(安定した飛距離アップ)を実感できると思います。
Q. あなたの記憶に残るPRGRクラブは?
(高梨)DUOシリーズ(2003年)ですね。ゴルファーを研究し続けヘッドスピード別に”飛距離マップ“を作成し、理想の初期条件を生み出すために何ができるかを既成概念を越えて発想したプロギアらしいシリーズだからです。画期的なカーボンクラウン構造とかもインパクトがありましたが、実は”飛距離マップ“こそが最大の発明で、当時DUOを取材して一番勉強になったことでした。
ヘッドスピード領域によって適正な打ち出し角、スピン量のバランスがあるというのは今では当たり前ですが、当時としては衝撃的でした。このような研究結果を基に新しい発想やコンセプトが生まれ、それを実現させるために画期的な技術、構造が出来あがっていくのでしょう。『これをやりたかったから、こうした。』みたいなのが伝わってくるのがPRGRクラブですね。
※本インタビューは2021年10月に実施したものです
高梨祥明 / TAKANASHI Yoshiaki
1970年生まれ 東京都出身
ゴルフ専門誌のギア担当副編集長を経てフリーランスに。主要ブランドの開発中枢を取材。ゴルフクラブの開発背景をゴルファーにわかりやすく伝えることをモットーにしている。ゴルフ、ライフスタイルに特化したサイト『耕す。』を運営。愛称はクラバー。